人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Years of being obscure-part 10

続き

部分的な解決、より多くの謎

2001年に戻ると、シェリー・クレイサー(Shelly Kraicer) 、中国映画リストの主催者はかつてこのバージョンについて観たことがあると書いている。更に何人かの人々も覚えていることや意見を話した。2004年に、わたしは何人かの香港の友人達にそれについて尋ねた。香港映画についての長い経験のある映画製作者、プロデューサー、専門家のシュウ・ケイが答えた。

わたしは説明してくれたフィート数を覚えている。もしわたしが正しければ、これは真夜中の初日上映の後で再編集されたウォン・カーワイバージョンだ。そしてこれはその次の週の通常上映のための「公式のリリースバージョン」だった。

「欲望の翼」は1990年12月15日に公開されて、12月27日まで上映された。。そこで多分これは香港で見られたバージョンだと思う。2001年シェリーのリストの書簡によると、ラボから直接、「プレ・プレミアバージョン」を見たBerenice Reynaudはプロローグにあたるものがフィルムにはなかったのは「確かだ」と言った。

シュウ・ケイは幾つかのギャンブルの連続シーンについての情報を教えてくれた。

アンディ・ラウがカードゲームをしているショットで、その後喧嘩をするのは(原文ママ)映画の最初の方に長いシーンがある。アンディ・ラウは九龍寨城のやくざのような役を演じているところだ。(役の、「欲望の翼」の最初のコンセプトの多くは、ジェフ・ロウ(Jeff Lau)の「天地長久」(1993年)で繰り返された。アンディの役は後に警官に変えられた。

2人の他の香港の観覧者がわたしに、修正されたバージョンではビッグスターのトニー・レオンとアンディ・ラウがマイナーな役なので、プロローグなしで、映画の初めに、目立つように登場するように意図されたのではないかと語った。マイケル・カンピ(Michael Campi)は2001年のレポートで「わたしは映画から若干の収益を得るために、慌ててトニー・レオンを最初と最後のシーンにさっと入れるように決められた」と書いた。

もしこれが巧みな戦略であったなら、それは「楽園の瑕」のインターナショナル版(オリジナルは台湾版)でプロローグとエンディングで激情的な戦闘シーンを見せるように変更したのと似ている。それらの描写は、香港映画祭のプログラマーLi Cheuk-toにより、視聴者がおしゃべりに終始する映画よりも、むしろこの剣術シーンを置く方が確実だと説明され、デザインされた。

けれども、物事は安定からは程遠い。プロローグは主要な点であるが、わたしの見た最後のリールは1990年の再編集されたバージョンであると想定すれば、述べてきた大まかな事情はどのようにエンディングの相違を説明するのだろうか?なぜ聴衆の不満やプロデューサーの要求はウォンにスタジアムや時計のショットを削除することを強いるのだろう?またはフィリピンでのルルの異なった(そしてより分かりにくい)シーンを代用するのか?またはヨディと警官の間の列車の会話を変えるか?列車の異なる長いショットを入れるか?或いは忘れられない「Perfidia」のテーマを削除するか?

さらにわたし達はまだ真夜中に行われたプレミアバージョンがどうだったのかわからない。それは今日のインターナショナル版と同じなのか、第3版の変形なのか?換言すれば、ウォンはオリジナルを再検討したのか、再修正したのか?彼、或いは販売担当者がどの点で、わかりにくいバージョンを通常のバージョンに取り替えたのか?

6月より前にわたし達のブログではGrover CrispのMadisonの訪問でディスカッションした。彼は全ての重要なシーンには代わりのバージョンが存在すると論じた。わたし達は単純にそれを受け入れる。それは特に香港映画では真実なことで、多くの市場で再編集版が出回っている。そしてわたしはそれが特に「欲望の翼」の難しい異なる版があることで、わたし達に仮想の物語の可能性を想像させ、この得体のしれない映画のアピールも加わる。それにもかかわらず、わたしはこのすべてのより多くの情報を歓迎したい。特にウォン・カーワイ自身からの情報を。

アレックス・ウォン(Alex Wong)、プロローグの台詞部分をわたしのために訳してくれてありがとう。

Years of being obscure-part 10_a0020835_21135966.jpg

--------------------------------------------------------------------------------
Article printed from Observations on film art: http://www.davidbordwell.net/blog
URL to article: http://www.davidbordwell.net/blog/?p=2453

終わり
by Franny64 | 2010-08-19 00:01 | Film

レスリー・チャン(張國榮)に関するmy memoir 


by Franny64