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Hong Kong that Wang Kar-wai described through his films" by Leung Ping-kwan    Part 2

昨日の続きから

「花様年華」のチャウはリュウ・イーチャンという小説家からインスピレーションを受けているのではないでしょうか。彼には「対倒」や「酒徒」といった作品があります。
1000字の原稿に10ドル。新聞のコラムで生計を立てるといった小説家の姿は、当時の小説家によくある姿でした。50~60年代に活躍した金庸も何冊も同時並行で書いていた時期があったらしい。彼は「楽園の瑕」の原作者でもあり、その影響も受けているとのことでした。

香港の映画は民間の小さな会社が作っていますが、台湾では政府の援助が、中国も大きなスタジオが政府の援助で建てられ、経済的な面でも香港とは異なっていて、香港は映画を作るのが大変なのだそうです。

90年代に入ると映画にも政治的な要素が入ってきます。1997年の「ブエノスアイレス」は舞台がアルゼンチンですが、香港返還の年でもあり、故郷に帰れない、でも香港から逃避したいという人物の気持ちも描かれ、またもモノクロやカラーで感情の起伏や人物の心理を表したり、逆転した香港を映し出しています。ファイも香港に帰りたいのに、たどり着いたのは台湾です。

王家衛監督の映画は香港の文化の一面を(都市の描写で)描き出しています。
「今すぐ抱きしめたい」では旺角、ランカオ島、レベルス・ベイ、「欲望の翼」ではクィーンズ・カフェ、アンディ・ラウ扮する警官が歩く半山の街角、「恋する惑星」の重慶マンション、Midnight Express。視覚のスタイルとしても「天使の涙」の屋内と屋外の使い分け、「楽園の瑕」の砂漠、「ブエノスアイレス」のアルゼンチン、ブエノスアイレスという場所。「2046」のOriental Hotelの看板、万年筆。
時間の交錯もよく使われる手法です。「欲望の翼」の1分間の友達、この1分間は心理的な時間となります。「2046」では比較的理解しやすいといわれたのですが、それはナレーターの効果のためだといわれています。ワンチャイのオリエンタルホテルで4つのクリスマス・イブが描かれます。
66年はルルと再会します。ここの2046号室はリーチェンとの思い出の部屋の番号でした。
67年はバイリンと知り合います。彼女は酒飲み友達です。ここでのタクシーのシーンは「花様年華」を思い起こさせます。
68年はホテルの経営者の娘と知り合います。そして任侠小説を書いていきます。
69年はリーチェンを探します。名前も同じ女性と出会います。漆喰の古い壁の前です。
そして、昔のようにはなれないと気づくのです。

2046は「花様年華」の部屋番号でしたが、取り戻せない記録であり、象徴です。チャウのペン先が止まってしまっているのはストーリーを変えることはできないのだということを表しているのでしょう。2046年、香港は50年間変わらないと中国政府は約束しました。でも、それは理想的な言い方で、変わらないということは実際問題ありえないし、変わらないということも、また問題なのだといえます。(終)
by Franny64 | 2005-02-21 23:19 | Film

レスリー・チャン(張國榮)に関するmy memoir 


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