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Wong Kar-Wai at the Museum of the Moving Image-1

Wong Kar-Wai at the Museum of the Moving Image-1_a0020835_8241812.jpgHappy Together (Special Version)がアマゾン・コムから届きました。そこにウォン・カーワイ監督のインタビュー映像(英語)が収録されていました。美術館が主催したトークショー(2008.4.3)の模様でした。アン・リー監督がウォン・カーワイを紹介するところから映像は収録されていました。アン・リー監督のユーモアあふれるスピーチがとても面白かったです♪

アン・リー(ANG LEE):ありがとう、ウォン・カーワイのために(拍手は)とっておいて下さい。 才知に長けた映画製作者を今夜あなた方に紹介するこためにここにいることはわたしの大きな喜びです。
現在、わたしは彼ほど多くの興味を引き、議論され、記事にされ、エッセイにも取り上げられ、賞賛され、あなた達の言うところの、模倣されるような現代の映画製作者であり、監督を知りません。
この何年か、仲間の映画製作者として、わたしは彼を嫉妬したらよいのか、(笑う)賞賛したらよいのか決めかねています。どちらかわかりません。

わたしはクールでいたいんです。でも、なぜクールでいられないんでしょうね。(笑う)
例えばビッグな映画スターと脚本なしに撮影に行く。例えば「あ~、今日は撮影する気分じゃないんだ。家に帰るか何かしよう」(笑う)またはちょっと考えさせて...何週間か、何ヶ月か、何年か撮影してきたけれど、それを捨てて、最初からまたやり直そう。
そう、とても驚くようなイメージとメタファー(象徴)と美しく、ロマンティックなシーンも一緒に加えよう。そして、それが意味をなさなかったら、ちょっと夢のようなセリフを入れて、夢のような独白や美しい音楽を入れよう。それで素晴らしくなるだろう。(笑う)
もし俳優達がセットを去ってしまったり、帰ってこなかったら映画をどう終わらせるかわたしはわからない。でも彼は他の俳優を雇って、それを包み込む他の結末を作ってしまう...。(笑う)そして賞を取ってしまうんだ。わたしもそうできたらいいのに。わたしも今夜サングラスをかけられたらいいのに。(笑う)
わたしのプロデューサーもわたしの編集者もそれをさせてくれない。彼らは「さぁ、これがあなたの映画ですよ...忘れてください」というでしょう。わたしは「なぜわたしにそれをさせてくれないの?」というでしょう。(笑う)

まぁ、彼を紹介するということで、わたしは彼への称賛を語らなければなりません。わたしが彼の映画を見た最初の体験をお話しましょう。
わたしはちょうど最初の映画「推手(1992)」をニューヨークで作ったばかりでした。9つのノミネートを受けたので、金馬奨に出席するために飛行機で戻りました。ところがみな「欲望の翼(1991)」の話をしているのです。「わたし達は新しい時代に入っているのだ。これが映画製作だ。これが映画監督だ。新しい時代の始まりだね。」
そこで、わたしはこの映画を見なければならないと思いました。わたしはビデオテープを借りてきました。その時わたしは時差ボケでしたが見続けました。半分くらいでわたしは眠りこんでしまいました。わたしは音楽を聴いていて、それらのシーンを見ていました...わたしは夢を見ていたのか、寝ていたのか、(映画を)観ていたのかわかりません...わたしは今まで観た映画の中で、この映画は最もアヘンで包まれた(=気持ちよくうとうとする)映画だと思いました。(笑う)わたしは素晴らしい夢の旅をしていたようでした。これがわたしのこの映画での素晴らしい経験です。

その後わたしはニュー・ヨークに戻ってから、もちろん再びこの映画を借りてきました。そして入念に観ました。わたしは再びあの時の感覚を呼び戻すことはできませんでした。わたしはウォン・カーワイの夢のレベルがわたしの心に触れたと思いました。
別の言葉でいえば、彼は潜在意識のレベルでわたし達(の心)に触れるのです。わたしはウォン・カーワイの映画は...どう言えばいいかな。わたしは彼がとてもロマンティックで美しく、ミステリアスな雰囲気によってわたしたちを魅了したと思います。
曖昧さは多くの感性と想像力を刺激します。それに(映画の中の)人々は自分自身に語りかけます。彼らは自己中心的だけれど、それは普遍的なものなのです。

そして1990年代の香港はまさにそうなのです。漂流した、切り離された、捕えがたい感覚、1960年代と共にー特に1966年の前にー彼が象徴として再現した香港の無知は世界の共同意識の中で徐々に忍び寄ってきました。
思うに彼の映画はまさに...曖昧さ...わたしは映画評論家ではないので。あなた達とは違ってね。(笑う)
それは嫉妬もありますが。わたしは彼がわたし達のために多くの色、美しいシーンそして多くの要素がそこにあるという精神的なスペースを作ったと思います。
要素というのはロマンスとか、ラブストーリーとか人間関係、追跡と損失、アイデンティティー、国の歴史などなど。そしてすべてがさらに衝突したり、お互いに償いあったり、お互いに養ったり。そしてそれはとても豊かで美しく、みなが欲しているものをそこから掴むことができるのです。

わたしはわたしがそれをすべてできたらいいのにと思います。それで、あなたの時間をそれほどたくさん取らないでください。彼の映画を観ることは活気があり、またうんざりします。なぜならとても疲れますから。
さぁ、この男性、冷静さを再定義したウォン・カーワイ。わたしのヒーローです。
そのサングラスを借りられる?(拍手喝采)

そして、ウォン・カーワイ監督が登場します。
続く
by Franny64 | 2009-04-22 00:10 | Film

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